料理用のはかりと市販のアルミ製 “ねこ鍋” と Arduino Uno を用いて、猫専用の体重計を作りました。
なぜ、ねこ鍋型体重計?
去る2月のとても寒い日に、当ラボのスタッフが弱って行き倒れている三毛猫を保護したのが始まりです。病猫の容体を把握するためには体重を正確に測り続けることが必要です。ところが、人間用の体重計は誤差が 500g 程度もあり、病猫用にするには精度が不十分です。また、台所用のはかり (キッチンスケール) は精度が 0.1g から 1g 程度と高いものの、病気の保護猫を秤皿に乗せてじっとさせておくのが至難の技です。もちろん獣医さんに連れて行けば体重は測ってもらえるのですが、猫は病院が大嫌いで、とくに保護猫はキャリーに入れるだけでも一大事です。
というわけで、猫用の体重計を市販の製品 (キッチンスケール、ねこ鍋) を組み合わせて自作することにしました。
特徴
次の条件をみたすことを考えました:
- 市販のアルミ製ねこ鍋を秤皿に用いて、猫が勝手に入ってくれるようにする。
- ねこ鍋には毛布やおもちゃが入れてあっても正確に測れる。
- 猫が入ってから電源を入れても測れる。
上の条件1をみたすために、ねこ鍋を単純に台所用のはかりに乗せたのでは安定が悪く、はかりの台座の拡張が必要でした。また、条件2、3をみたすために、マイクロコントローラ (Arduino Uno) を用い、風袋(猫体重を測る際に差し引かれるべき、毛布やおもちゃの重量) の値を電源断の間も保持するようにしました。
Arduino Uno を用いたため、
- PC で連続的に体重データを読み込むことも可能
になりました。また、液晶ディスプレイの表示スペースに空きがあったので、
- 温湿度計と時計の機能
も持たせました。
実際に製作した、ねこ鍋型体重計の様子
写真の美猫はみちつなちゃんで、Instagram: @azumakuniyuki さんにご撮影/ご提供いただきました。ありがとうございます。
ねこ鍋型体重計の取説
ねこ鍋型体重計の製作
ここまで記事を読んできて同じものを自作してみたいと思われた方は、以下もお読みください。自作したくないという方は、ありがとうございました、お読みになる必要はありません。
なお、ここで製作した “ねこ鍋型猫体重計” と同じものを MewPro Scale という名前で、当ラボで受注生産しております。ご興味のある方は info@mewpro.cc にご連絡ください。8000円 (消費税と送料別) で納期約1週間で承ります。
次の材料を使いました:
- ねこ鍋: Petio クールアルミキャットボウル (幅X奥行X高さ 35×7.7×35cm)
- 台所用のはかり (キッチンスケール): HBLIFE デジタルキッチンスケール 1g単位 最大10kgまで 計量可能 風袋引き機能付き
- クリアパイン集成材 1R円形 300mmɸ x 18mm
- Arduino Uno (互換機 Seeeduino R4.2 を用いました)
- キャラクタLCDディスプレイ 16×2
- ロードセル用24ビットADコンバーター HX711
- 温湿度センサー AM2320
- リアルタイムクロック DS3231
- モーメンタリースイッチ、配線部材など
キッチンスケールの表示部を取り除き、そこに HX711 を収め、ロードセルからのリード線をはんだ付けします。クリアパイン集成材を切断し、キッチンスケールをはめ込みます。
底面はアルミテープで接着します。
Arduino Uno に表示/センサー部を載せた自作のシールドを装着し、HX711 と接続します。(Arduino Uno には専用のソフトウエアがインストールされています。ソースコードは、まだ公開されていませんが、必要な方はご連絡ください。)
動作確認とロードセルの校正をしたあと、ねこ鍋を接着します。
完成です。